こんばんは。
佐藤です。

また性懲りもなく、
今年読んだ本について書きます。
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【Dominatricks】

カナダの新星、タイラー・ウィルソンの作品集です。

表紙からしてポップでふざけてますが、中身はもっとふざけ倒してます。

まともに読んでいると、肩透かしをくらってしまうので、気楽に読むのが良さそうです。

ただ、おふざけにうんざりして読む気が失せるかと言えばそうではなく、ついつい読み進めてしまえたのは、内容的にクオリティーが高かったからでした。
実際、クレジットもしっかりしていて、初めて知ったクレジットもたくさんありました。

クレジットが多いと、どうしてもアカデミックになりすぎるきらいがありますが、その文体のふざけ具合が上手いことバランスを取っており、わたしの中では、「面白くて勉強家」というイメージがすっかり付きました。

「前書き」で、デイヴィッド・アッカー(David Acer)は、「…その結果、本書のあらゆるトリックは、行き届いたクレジットと関連書の表記によって内容の深いものとなり、逆にまたそれこそがタイラー自身の貢献がいかに正当なものであるかを浮かび上がらせているのである」と言っています。

前半は技法、後半は手順、最後に発行者でマジシャンのAndi Gladwinとの対談という構成です。技法は「こんなのできるのか?」と思うのあったのですが、付属CDロムの実演映像を見ると、実際に実演可能どころか、ひっかかる巧妙なものであることが分かります。付属CDロムは、まさにこれを狙って付けたのでしょう。ただし、手順の実演が一切ないのが、残念。

CDロムには、左利き用のボーナストリックありという遊び心もあって、Jack Parkerの"Fade Change"という、左利きだからできるカラーチェンジが解説されています。

手順は、「そう来るか!」「上手い!」と思わず声を出してしまうくらい演出面で斬新なアプローチで溢れています。

マジックの本で、しかも海外の本で、懐かしの「コナミ・コマンド」などという言葉はなかなか見られません。

ポスト・イット(付箋)を使ったアンビシャスカード・ルーティーンやクリーンなサンドイッチ現象(こちらで本人の実演を見ることができます)に加え、表裏噛み合ったパケットから、表のカードだけをビジュアルに弾き飛ばして選り分けるというちょっと変わったトライアンフも。

"Coke Inhabit"は、コーラ瓶にコインが入る現象…かと思いきや、小さなコインをコーラ瓶の形のグミ(!)の中に入れるというもの。

そして、発売当時「ロイ・ウォルトンが唯一公式に褒めたカード・ワープのヴァリエーション」という触れ込みの"Scarred Warp"。カード・ワープのフィニッシュとして、「中がどうなっているか見てみたいですか?」と言って、カバーカードの中を覗くと…。確かにマジカルなクライマックスとしては抜群です。

読み始めたら止まらない面白さだったという点では、今年一番のヒットでした。